ようおまいりでした。

旅の記録や日々感じたことを自由気ままに夫婦で綴っていきます

【書評】蜂蜜と遠雷(上・下) 著:恩田陸

最近小説読んでないなーという人にこそおすすめの一冊。
映画化もされているのでタイトルを耳にしたことがある人も多いでしょう。

類まれなピアノの才能を持つ登場人物たちが、若手ピアニストの登竜門として有名なコンクールに出場し、優勝を目指して切磋琢磨を繰り広げるお話。

■登場人物
メインの登場人物として4人が出てきます。それぞれの視点でコンクールの時系列と並行して場面が変っていく構成。
4人の登場人物は以下の通りです。

・栄伝亜夜(20歳)。天才ピアノ少女としてデビュー。母の死後は表の舞台から退き、ブランクを経て出場。
・マサル・カルロス・レヴィ・アナトール(19歳)。海外の超有名ピアニストに師事し完璧な技術とスター性を持つ。王道中の王道、スター中のスター的な資質を持つイケメン。
・高島明石(28歳)。楽器店勤務のサラリーマン。大人ならではの深い解釈を演奏に反映させる。
そして、
・風間塵(16歳)。今回の番狂わせであり、もっとも異質な存在。音楽界の巨匠に認められ、天から与えられた人智を越える才能を持つ。

■何がそんなに面白いのか?
まずそれぞれのキャラでしょう。このお話には四人の天才が出てきます。
天才が繰り出す超絶能力って、側から見てるとすごく面白いですよね。
W杯を観戦しロナウドの超スーパープレイを何度も見ているような感覚。
そして一人一人の生い立ちや個性について丁寧に描かれ、コンクール中のそれぞれの音楽にも各々の個性がしっかりと反映されています。

次に現場の臨場感ですね。
著者によると、この本ができ上がるまでに七年も連載が続いたそうです。毎年、モデルとなったコンクールに足繁く通い、ロケをしたと言うようなことが巻末に書かれてありました。それを見てなるほどなと納得。実際にコンクールを見てリアルに見たこと聞いたこと感じたことを反映されたのでしょう。

面白い本であればあるほど、読みながらまるで映像を見ているような感覚になりますが、この小説はそれを顕著に感じました。
読んでいると、まるで自分もコンクールを聞きに行っている1観客のような錯覚に陥いります。いつの間にか登場人物たちの演奏に目が離せず、観客と一緒に熱狂しているような没入感にさえ陥っているのです。

■おすすめの読み方
作中に出てくる曲は、何とピアノ音楽集としてCDで発売されているのです!(もちろん作中の人物が弾いたわけではないですが^^;)
Apple MusicやAmazon primeでもダウンロードできます。
おすすめの読み方は、読みながら出てくる曲をリアルに流すと言うことです。楽曲と文章がリンクしてよりこの小説を楽しめます。
私のお気に入りは、作中で風間塵編曲の「アフリカ幻想曲」。
これ、めちゃくちゃいいです。野鳥が飛び交うジャングルを抜け、太陽が降り注ぐ広大な草原に動物たちが割拠している様子が目に浮かびます。

■まとめ
読み終えると、気持ちのいい爽やかな読後感。間違いのない一冊。
時間をおいて、もう一回読みたい小説です。