ようおまいりでした。

旅の記録や日々感じたことを自由気ままに夫婦で綴っていきます

【書評】#15 俯瞰図から見える IoTで激変する日本型製造業ビジネスモデル(著:大野 治)

IoT(Internet of Things)について理解を深めたい人におすすめの本です。

IoTって一度は聞いたことはあるけど結局何なのか?
ビジネスにどのように影響しているのか?
他社はどのようにビジネスに取り入れているのか?
これら全てがとてもよく理解できる本です。

■IoTとは何か?■
IoTとは「Internet of Things」の略で直訳するとモノのインターネット。
昔はパソコンでしかインターネットに繋げられなかったのが、今では、携帯や家電などあらゆる機器(モノ)とインターネットを繋ぐことができます。インターネットと繋がった機器は様々な情報をクラウドサーバにあげることができますし、逆にクラウドサーバから情報を取得することもできます。
私の理解はこれまでこんな感じでした。
でも、この本を読むと、漠然と理解していたIoTは何で構成されているのか、その構造が理解できます。

■IoT=8階層■

IoTとは、8つの技術階層からなると筆者は説きます。

f:id:Chankana:20210902000432p:plain

俯瞰図から見える IoTで激変する日本型製造業ビジネスモデル(著:大野 治)P30 図表2-1参照

下の階層から説明すると、
・センサーを内蔵したビッグデータの発信源である「モノ」

・ビッグデータが集められる有線及び無線の通信網「コネクティビティ」
・ビッグデータが保存される場所であり仮想化されたハード領域「クラウド」
・収集されたビッグデータを円滑に高速処理する処理基盤「IoTプラットフォーム」
・膨大なデータを自動解析し、結果をリアルタイムに返す、人工知能を代表とする「アナリティクスソフトウェア」
・アナリティクスソフトウェアを各産業別に適用し、特定の機能・目的を達成するために開発される「アプリケーションソフトウェア」
・上記モノから始まり、産業分野別のアプリケーションにおいて活用するまでの、IoTシステム一式を導入する「導入サービス」
・この導入されたIoTシステムを運用・保守・管理するための「運用サービス」
このように下から上までの流れを持ってIoTと定義しています。
これこそがIoTの全容であり、その構造なのです。
私はこれまでモノ〜クラウドまでをIoTという理解でしたが、よくよく整理してみると、確かにこの構造をとっているなぁとしみじみ見入ってしまいました。

■縦軸×横軸のマトリクスと3つの企業戦略■
筆者はさらに、この技術視点の階層を縦軸とし、横軸に産業分野を展開することでマトリクスとして表現しています。

f:id:Chankana:20210902004510p:plain

俯瞰図から見える IoTで激変する日本型製造業ビジネスモデル(著:大野 治)P39 図表2-2参照

この縦軸×横軸のマトリクスを使って、各企業戦略を3つの分類に分けて分析しているのです。
その3つの分類とは、
技術視点である縦軸の階層を垂直に統合する「垂直統合戦略」
ある技術階層において異なる市場を横断して横展開する「水平横断戦略」
特定マーケット向けのセンサー内蔵装置・設備で優位を築く「モノ重点戦略」
となります。
本書ではさらに、各戦略の詳細を具体的な企業名を挙げて説明しています。
いやー、それにしてもこのマトリクス、めちゃくちゃ素晴らしくないでしょうか?これを見た時はその体系だった整理にあまりに感動してしまいました。企業分析などをしている方には必見だと思いますし、もし就活されている方がいらっしゃたらぜひ覚えて披露してみて下さい、即戦力として歓迎されるはずです。
このマトリクスは表紙にもなっています。これをこそが本書の肝となるポイントになります。

■終わりに■
いかがでしたでしょう。
ご紹介した8つの技術階層や、縦×横のマトリクス。これこそが、ぼんやりと理解しがちな「IoT」の全てだと思います。
ビジネスで聞かないことはないくらいの「IoT」について、社内で誰よりも詳しくなれる名著でした。